グレコ SE500
お久しぶりです。今回はSE500
製造年は1976年.....47年前の日本製ギターです!
ボディの傷もなかなか
古いギターお馴染みの、金属パーツは錆びてる状態です。
一度、弦を張り 現状を確認したのち、バラしていきます!
ヘッドロゴも欠けていました、
今回は大がかりな修理で
ネックの修正、フレット交換、ナット交換
問題のある電装パーツの交換
そしてボディー、ネック指板の再塗装です!
早速ネックから取りかかっていきます。
ストレートエッジを使い、正確にネックを見ていきます。
塗装にヒビがはいらないよう ドライヤーで温めながら
ナット、フレットを外していきます。
フレットの溝の深さを確認しながら
ネックをまっすぐに修正しました
オリジナルとは違いますが
今回はコンパウンドラジアス指板にしました!
コンパウンドラジアスとは
ハイエンドギターなどで採用されているネックで
ネックの低い方、高い方のRを変えることによって
二つの良い所を合わせた加工です!
今回はオリジナルが170Rだったので
低い方が170Rでカーブがキツく
高い方が240Rで平たくなりました
指板を削ったことによって、ナットの溝も浅くなってしまったので
フレット溝、ナット溝ともにノミなどで修正していきます!
塗装の欠けてしまったヘッドには後でリタッチをしますが、凹んでしまっている下地には瞬間接着剤をもり
ペーパーで面をだします。
ロゴにマスキングをして
ブラシで黒をふきました
全体が馴染むように、アメ色のクリアを吹き
フレットを打ち込みます。
メイプル指板の場合、指板に塗装が乗っているので
一度塗装したあと、フレットを打ち込み
フレット横などのバリを取る作業で、一部塗装が剥がれてしまうため
塗装
↓
フレット打ち込み
↓
塗装(削れたところのリタッチ)
↓
すり合わせの順番でネックは完成です。
このタイミングで
牛骨ナットも作りました!
同時進行で作業していたボディーですが
塗装剥がしに苦戦していました....
真夏にアイロンで温めながら、ノミで剥がしていきましたorz
そして、驚きの8ピースボディーです笑
貼り合わせるだけで人件費がかかりそうですが
同時、輸入材の少なかった楽器メーカーは
あの手この手でがんばっていたようです。
傷だらけだったボディーに
削った粉で作ったパテをもりました
じつは一箇所、ネジ穴の位置がおかしい部分があって
これを直すために 丸い木の板を作り
接着した後、ノミで切り飛ばして
こんな感じです!
背面のネジ穴も、使わないので
メイプル棒で塞ぎました!
写真を撮り忘れたのですが、ネックとボディーの隙間も直しました!
ボルト無しでも落ちません
下地を塗り、傷、凹みなどを確認しながら
黒を吹いて
ピカピカボディーになりました
汚れたパーツもどんどん綺麗にします。
電装パーツのレバースイッチですが
ギターによく使われるCRL規格ではなく
オリジナルの国産レバースイッチでした!
配線、横幅、ネジの位置が違っていて
これと同じパーツも手に入らなくて焦りましたorz
幸い、動作には問題なく スイッチのみこのまま使いました
50年近く前のパーツが今でも使えるってすごいですね!
春にこのギターを手に入れ、夏、春、秋とまたぐ
長いリペアでした
これからも使えるギターになったので
とっても満足です。
良いお年を
ヤマハ FG180の場合
今回はヤマハのアコギ、FG180の修理です。
定番のボロボロ個体です笑
レッドラベル、7桁シリアル、調べたら1970〜71年製とのことです。
50年の歴史を感じるボロさと
サドルの両端に隙間があるのも気になりますが
調べると、ヤマハのサドルは
他のアコギに比べてすごい長くて、FGの純正サドルは若干隙間があるのがデフォルトっぽいです。
なぜかブリッジピンが浮いていますが
ブリッジの剥がれ、割れが無かったのが購入の決め手です。
古いアコギは、弦の張力でトップ板やブリッジが膨らんだり、割れたりしてしまいます。
それを修理しようとすると、ボンドなどを流し込んだあと
アイロンで温めたりするのですが
弦を張るとすぐに戻ってしまいます。
完全治療にはトップ板の張り替えなどしか手段が無いため
中古のアコギを買うときは注意ポイントです。
早速、ゴリゴリばらしていきます。
ナットを外して
ブッシュを外して
フレットを抜いて
定規をあててみると.......
恐ろしい順反りです.....
今回はローフレット側を削り、ストレートにしていきます。
また、削るとフレットの溝も浅くなってしまうので
溝の幅や深さを確認しながら 必要に応じて、ノコギリで修正していきます。
なんとかストレートがでました....
古いからなのか、安いからなのか
ザクザク削れます笑
フレットの溝の幅に合わせて
フレットの足にウェーブをつけてセットしていきます。
溝に対して、少しきつめにフレットをねじ込むと 振動などでフレットが浮きにくく
サスティーンが伸び、若干 指板を逆反りさせることが出来るので
指板板の硬さにもよるのですが
可能な限り、キツめにつっこんでます
お次はパーツです。
ナットやサドルは写真を撮り忘れてしまいました....
ペグの分解をして
556に着けて錆び取りをした後
磨いていきます。
この時、ペグをマウントするネジ穴も木で埋めて直しました
そしてトラブル....
最初にブッシュを外す時に、ヘッドがパリっと割れてしまいましたorz
これはブッシュの錆などが 塗料と木の間に入り込んで
一緒に割れてしまうらしいです。
塗装自体も50年たって、パリパリになっているので、こうなってしまうそうです。
迂闊でしたorz
古いギターの場合、温めたりしながらブッシュを取ればある程度は防げるらしいです
勉強ということで、これもリペアしていきます笑
アロンアルファを流し込み
割れたり破片をくっつけて固めたあとに
盛り上がった部分をナイフで削り
ロゴなどを削り落とさないように
やすりで平にして、最終的に艶消しのクリアで
ヘッド全体を塗装し、ついでにボディにもコンパウンドで磨きをかけていきます。
話は変わりますが
実は写真の背景用にスクリーンを買いました
ちょいちょいリペアの様子を友人に見せてるのですが
「背景がボロすぎ」と言われてしまい
購入を決意しましたorz
一部リペア写真を撮り忘れてしまいましたが
とりあえず完成ということで笑
PRS SE の場合
今回のギターは
高校時代の友人からお借りしたPRS SEです。
年式は古くありませんが、使わずにしまっていたらしく
相応の汚れや金属パーツのクスミがみられます。
裏を見ると韓国製のようです!
今回はあまりお金をかけず
すり合わせと調整のみの方向性でいこうと思います!
バーっと全体を見て気になったのがナット
斜めに取り付けられており
大きさも合っていないので尖った部分がヘッド側にはみ出しています
見た目が綺麗ではないのでここから直していきます!
ナットを叩いて外すと
指板材が6弦側のみ、はみ出しています
これは大量生産する過程で
機械でカットした材が、綺麗にカットされておらず
細かい検品や作り直しはコストがかかるため
無視して組み込んでしまうことがあるそうです。
このままではかわいそうなので
ナットの溝をノミで整形していきます。
定規で測りながら平面を出していきます
ナット溝を削ると ナットの高さが少し下がってしまうため
ナット側にも一手間くわえます。
ナットをエボニーの廃材に貼り付け
エコノミーサンダーでナットの大きさとおなじにして
厚さ約0.5mmカサ増しします
取り付けると初期の隙間は無くなり
正しくマウントすることができました!
つづいてフレットのすり合わせ
ヤスリで指板のエッジをそろえます
写真では写りませんが
フレットのエッジが長かったり短かったりと
不均一だったため
演奏時に引っかからないよう整えます。
フレット、指板の角もヤスリとナイフで取っていきます。
この作業のおかげで、最初的には指板もフレットも丸みをおびた
手が痛くならないネックになります
フレット以外をマスキングし
ストレートエッジ(正確な直線の板)で
なるべくネックがストレートになるようにトラスロッドで調整していきます
写真を撮り忘れましたが、すり合わせが終わり
ヤスリの番手を細かくして
傷を少なくしていったら
ポリシャーで磨きをかけて、フレットは終了です
ついでなので、今回は指板面も磨きました
最後のセットアップ前に
ギター用のクリーナーとオイルで汚れたギターを綺麗にします!
ブリッジやペグも磨きついでに
ネジもサビサビで
ネジ穴がバカになる前にワイヤーブラシで磨きました
最後に弦をはり かさ上げした分のナット溝を
削り直していきます
オリジナルのナットはカクカクで手が痛くなるため
ヤスリで角を落とし
少しだけ丸みをつけました
これで完成です!
ヤマハ RGX821の場合
今回は友人からお借りしたヤマハのギター
RGX821のリペアをやっていきます
ゴールドパーツの宿命、年が経つとどうしてもくすんでしまいます。
ブリッジもこの通り
中古で購入後、ほとんど使っておらず
僕の修理の練習のためにお借りしました
ブリッジから弦が抜けてしまうらしく
症状を確認していきます。
インサートブロックを確認すると
ほとんど傷はなく
原因がサドル側だとわかりました
サドルの順番を書いて バラしていきます。
写真では写りませんが 確認すると
サドルの中に傷が無数にあったため 細いヤスリで整えていきます。
フロイド系のブリッジは1弦と6弦、2と5、3と4のサドルは同じものになっています
よくよく溝を確認すると1弦の溝に 巻弦の傷があり
1弦と6弦が入れ替わっていたのではないかと
再度確認
結果1と6、2と5が入れ替わっている傷があったため
位置を交換して
ついでにネジなどもブラシで磨き
バフでブリッジも磨いていきます。
ゴールドメッキは薄く、磨くとシルバーになってしまいますが
今回は許可をいただき磨くことになりました
写真はありませんが、ついでにペグ、ナットなど、その他金属パーツもバラして磨いておきます
続いてフレット!今回はすり合わせのみ行いますが
せっかくなので フレットのエッジも整えていきます!
当て木にヤスリをつけ、面をだし
細いヤスリで フレットの角を落としていきます。
続いて角ばった指板の角も落とします。
部分で塗装が剥げてしまうので オレンジオイルで保護します。
マスキングをしてすり合わせに入ります
今回はフレットに凹みがあります。
ヤスリが全ての面にあたったら
台形になったフレットの角を削り
ペーパー、バフで磨きをかけて完成です
各パーツの磨きも終え、セットアップに入りましたが
ここでピックアップの高さが調整できないことに気がつき
スポンジ板から高さ調整用のスポンジを切り出します。
細かいところをみるとペグにもバリがあるようなので
弦が切れないよう、ヤスリで角を落とします。
一通りの作業を終え完成しました
ZENN ZD45 の場合
今は無くなってしまった、サウンドハウスブランドのギブソン J45コピー品
Zennの中華アコギです
5年ほど前に新品で購入して使っていましたが
前回のトムソンのリペアでアコースティックギターの難しさを知ったため
続けてアコギリペアの勉強です。
買った時はわかりませんでしたが
改めて見ると フレットが斜めに打ち込まれています
試しに叩いて直そうと試みましたが.....
浮きは直らず
抜いてみると そもそも中華製のフレットの足が斜めになっており
タングの位置もセンターからずれていました
すり合わせではなく
フレット打ち直しで修理していきます。
フレットを抜いていくと
指板がささくれていきます。
どうも、ローズっぽく見せるための化粧板が薄く貼ってあるようで
溝はグズグズになってしまいました
ローズの粉も合わせて アロンアルファで補正し
削って整えていきます。
削ると化粧が剥がれ 黄色い粉がザクザク出てきました
なんの木でできてるんでしょう?
続いてフレットを打ち込みます
両端をニッパーで切り
さらにエッジをヤスリで整えていきます。
フレットの角を丸めて
指板の角も削ったら打ち込みは完成です。
続いてすり合わせをします
ネックを可能な限り真っ直ぐにして
ペンで色を塗り
当て木で削っていきます
今回は指板修正(指板をストレートに削らず、フレットの打ち直しのみする)ため
ネック歪みが直っておらず 部分部分ヤスリが当たらないところがあります。
削りを進めていき 全体にヤスリが当たれば終了です
ネックのねじれや歪みをすり合わせだけで修正しようとすると
フレットを削る量が多くなり 今回のような台形なフレットになっていきます。
無論、フレットの丸みを復活させるために
フレット用の工具で削ります
ナットの作成にとりかかります
最後にブリッジですが、今回はオクターブチューニングを合わせたブリッジを作っていくことになりました
仮のブリッジをさしてチューニングしていきます。
この時に弦を緩めて、カポで弦を押さえながら交換すると
ブリッジの抜き差しが簡単にできます
刺してチューニング、削る、を繰り返して
チューニングの高いところ、低いところをノートにメモしながら削ります
最後にセットアップして 微調整をしていきます。
完成です。
いろいろ直してみると 中華クオリティな部分がたくさん見つかり
発見のある楽しい修理でした!
トムソンの場合
はじめてのアコギリペアになります
木曽鈴木バイオリンのDove風安物ギター
トムソンです!
明らかに悪意のあるロゴ
ブリッジは割れています
フレットはちゃちゃーっと抜きまして
よく見るとバインディングに隙間があります
古いギターは時間が経つと バインディングの隙間を埋めてるパテが痩せてしまい
隙間ができるとのこと
ローズウッドの削りカスとアロンアルファで
すり込んでいきます
少しペーパーで削ると
綺麗に埋まりました!
今回は初めてのアコギリペアで 探り探りやっていたので写真が少ないですが
フレットを打っています
ここからこのギターのトラブルが連発しますorz
トラブル1
指板が剥がれているので
薄めたタイトボンドを流し込んで クランプで接着します
トラブル2
フレットの溝が大きく
フレットが浮いたりグラグラしたりするので
今回はフレットをアロンアルファで接着する方法を使いました
マスキングをした後にアロンアルファを流し込み
クランプで固定します
固まったらマスキングテープをナイフで剥がしていきます
アロンアルファでフレットを?と思いましたが
実は手抜きなどではなく
かなり使われているテクニックのようです。
ヴィンテージ のギターなど 簡単には指板を変えれず
フレットを何度も打ち変えていて溝が大きくなっている物や
フレットが浮いてるとサスティーンが無くなりますが
アロンアルファで固めると
指板に強力に刺さるためサスティーンが伸びる特徴があります
そのためプロのミュージシャンの方でも
あえて新品のギターをオーダーする時に
フレットは「アロンアルファで固めてください」という注文があるそうです。
ここからはすり合わせをしていきます
次にブリッジです Dove特有のチューンオーマチックブリッジが しっかり反っているので
コマの交換と同時に分解して
両脇が分厚くなるようにマスキングして
クランプではさむと
あら不思議 直りました
が、、、簡単に直りすぎなので
おそらく柔らかい金属を使っているため また反ってしまうそうです
ブリッジの下に板をはさむなどの対処法もありますが
とりあえずはナットの作成のため
弦高をハッキリさせるために 仮組みで取り付けます。
ブリッジの割れは写真が少ないですが
タイトボンドを流し込み、両脇からクランプで挟みます。
ナットの作成です いつも通り牛骨で作っていきます。
ペグ3対3のギブソン 系のギターのチューニングが合わない原因はナットにあることが多いらしいです。
フェンダー系のギターと比べて ナット幅が大きいので 弦と擦れる部分が広いとダメらしいです
角を落として 弦との接点を少なくしていきます。
理想は弦との接点がフェンダー のナットと同じくらいだそうです
↓お手本です
3対3ペグは 弦の通り道がハの字になっているので
溝もそのように切ります
これもチューニングの安定に一役買うそうです。
最後にピン穴の幅を整えて
パーツなどを磨き
完成です!
グレコ RB700の場合
今回のジャンクベースはこれ!
とにかくシールが凄いです
ペグは金色に見えますが 少し触ると取れるので
こういうサビのようです。
ロゴはグレコのミンコレ時期のシリアルと一致しますが
リッケンタイプは種類が多く
念のため神田商会に問い合わせたところ
80年代のRB700Bだそうです。
まずは一つ一つ分解して
シールを剥がしていきます。
電装系はこんな感じ
今回もガリが酷いので交換します
リッケンタイプのベースはボリュームポッドが250k
トーンポッドは500Kのようなので
それに合わせて国産ポッドで交換します
テスターで測ったところ コンデンサーとピックアップは無事なようなので
安心しました
さて、シールを剥がしたのですが
ピックガードは日焼けによるシール跡が酷く
諦めていたのですが
ハイターEXにつけて 紫外線を当てると黄ばみが取れると聞いて、早速やってみました
効果はてきめんでした
ボディーも汚れ取りという意味でもポリシャーで磨いておきます
ここでパーツを全て外したら工房での作業になります。
オリジナルのリッケンに忠実なのか、
分厚い塗装がおおっています。
これをある程度剥がさないと フレットを抜く食い切りの刃が入らないので
ドライヤーで温めながら、カッターで削いでいきます。
フレットを抜いたら 指板面のストレートを出すのですが
塗装が分厚すぎて 作業が進まなくなるので
先に刃物で塗装を剥いでおきます。
作業に集中しすぎて写真を撮り忘れていましたが
12フレットで隙間がない事を確認しましたので
フレットを打ち込んでいきます
打ち込んだ後 エッジを取ってすり合わせが終わったら
磨いていきます。
今回は指板に塗装せずに ローズ指板にオイルでフィニッシュします。
続いてナット....
購入時について来たナットは
良く見ると1弦〜2弦の幅が広く
4弦〜3弦の幅が狭くなってます
元々こうだったのか 誰かが交換したのかわかりませんが
幸い ナットの高さは十分あるので
牛骨とアロンを混ぜたもので埋めて 掘り直していきます。
後は自宅に帰り パーツのクリーニングとセットアップ
メッキの下地が錆びていますが
ある程度は光らせれます
ピックアップもホコリがひどいので磨きます
フロント
リア
ペグもピカピカに
完成!!!